Treasure
頂きもの展示室
実は第二のメインページ。



 2    台本シリーズA DVはいくないよね (SBSさまより)
更新日時:
2010.08.12 Thu.
パラサとグイズノーが、秋の収穫祭の人形劇の台本を書いたようです。
 
 
 
♯212 灯りのない部屋
 
家具らしき家具もない、殺風景な白い壁の部屋。中心に置かれた寝台の上で、組み敷いたスイフリーの首に手をかけるアーチボルト。
『…私は裏切りが嫌いだと何度言ったらお前は覚えるのだ?』
じわじわと首を締める両手に、弱々しく目を開くスイフリー。白くしなやかな肢体を投げ出したまま、抵抗も出来ず切れ切れに呟く。
『…わ、わたしは、お前を裏切って、など』
『黙れ、淫売』
ろくに慣らしもせず体内に埋め込んだものを、苛立たしげに強く揺さぶるアーチボルト。少女のように悲鳴を上げるスイフリーの喉をますますきつく締める。
『私以外の人間と許可なく話すなと、あれほど教えてやっただろう。…顔の傷も勝手に治して。所有物の身で、何をしている』
『…わたし、は、…ただ、…お前の目に、見苦しい姿なのが…恥ずかしく、て』
『今更、何を恥じらうことがある?夜毎男に種付けをねだる、お前の卑しい身体のどこに、羞恥などという高尚な考えがあるのだか』
薄く開かれたスイフリーの青い瞳から、一筋涙が流れ落ちる。その涙さえも舌先で舐め取り、アーチボルトは歪んだ笑みを浮かべる。
『…お前の声も、傷も、涙さえも、全てはこの手の中にある。…あまり煩わせてくれるな、愛しい私の人形よ。これ以上お前が逆らうのなら、…私はお前が憎らしくて…いとおしすぎて、この手で壊してしまいそうだ…!』
 
 
 
「殴っていいか」
「気持ちは解るがやめろ。これは架空の人物の話だ」
「わたしだって、その辺りは理解している。読後感の問題だ、許せ」
「却下する!」
「……何だってお前なんかに良いようにさせておくのだ、この台本のわたしは。一発殴られたら一発バルキリーの槍を撃ち込んでやればいいではないか、意気地のない。足りないなら二発でも三発でも、目には目をの精神だ」
「明らかに目には目を、の域からはみ出しているような気がするんだが」
「余った分はおまけだ」
「おまけで死ぬのか私!」
「ああ、後、両手を確実に潰さなければならんしな。何だかいろいろ握られてるようだから」
「……それは言葉のアヤだろうが……」
 


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